記念すべき初投稿は、最近劇場公開もされたディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』です。
ソウルフル・ワールドあらすじ
劇場公開日: 2024年4月12日
ニューヨークでジャズ・ミュージシャンを夢見る音楽教師ジョーは、夢が叶う直前にマンホールに落下してしまう…。彼が迷い込んだのは、ソウル<魂>たちが地上に生まれる前に「どんな自分になるか」を決める世界だった!そこでジョーが出会ったのは、やりたいことを見つけられず、“人間に生まれたくない”と何百年もソウルの世界に留まっている“22番”と呼ばれるソウル。夢のために地上での人生を取り戻したいジョーは22番に協力を求めるが…奇跡の大冒険を繰り広げる二人が、最後に見つけた<人生のきらめき>とは…?
- キャスト ジェイミー・フォックス (ジョー), ティナ・フェイ (22番), グラハム・ノートン (ムーンウィンド), レイチェル・ハウス (テリー)
- 監督 ピート・ドクター
- 共同監督 ケンプ・パワーズ
- 製作 ダナ・マレー
- 脚本 ピート・ドクター, マイク・ジョーンズ, ケンプ・パワーズ
- 音楽 トレント・レズナー, アッティカス・ロス
- 吹替キャスト 浜野謙太 (ジョー), 川栄李奈 (22番), 福田転球 (ムーンウィンド), 梅田貴公美 (テリー)
2020年の公開当時は劇場公開はなく、ディズニープラスでのみ鑑賞することができましたが、こんなに素晴らしい作品なのに大スクリーンで観られないのは勿体ない!となった作品のひとつでした。
ディズニー映画だし子供向けでしょ?
確かにこの可愛らしいビジュアルからそう思う方も多いと思います。
ですが、断言します!ソウルフル・ワールドは”大人向け”です!(小さいお子さんももちろん楽しめます⭐︎)
むしろ大人こそこの映画を観てほしい。
なぜ大人向けなのか映画を見ればその意味がきっとわかるはず。
※ここから先ネタバレあり感想(未視聴の方はお気をつけください)※
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”人生”とは何なのか。人間一度はなんとなく考えたことがあるテーマなのではないでしょうか。ですが、その答えを見つけ出すのは難しいですよね。
子供たちに音楽を教える傍、ジャズ・ミュージシャンを夢見る主人公のジョー
ジョーがひとたびピアノを弾けば、有名ミュージシャンからバンドへのお誘いが来る程才能があるジョー。なのに自分に自信が持てなかったり、母親に本当の夢を伝えられなかったり、夢が叶う一歩手前でマンホールに落ちてしまったりなかなか夢に手が届きません。
そのうまくいかないジョーの姿は、まさに”思い通りにはいかない人生”という厳しさと現実を見せられているようで思わず自分と重ねてしまうところもありました。
ワールドに来る前のジョーは”夢を実現した理想の自分になるために”一生懸命生きているという印象を受けますね
そしてその対極的な存在が”22番”。一生懸命に生きることや夢や希望、ましてや人生の目標なんて見つける気もないソウル。
マザーテレサやマリーアントワネットが教えを説いても心が震えることがない頑固なソウル!地上へ一秒でも早く帰りたいジョーとは正反対に絶対に地上へは行こうとしません。
22番は一見卑屈にも見えてしまう言動を繰り返しますが、実は寂しがりやで強がりで自己肯定感が低いことも作品を通して見えてきます。
”みんなはできるのに自分にはできない”
”みんなが当たり前に持ってる感情が自分にはない”
そんな22番はワールドの中でも変わり者扱いをされ自分の世界に引きこもり、地上にいきやっと見つけかけたきらめきも分からず、途中迷子のソウルとなり凶暴化もしてしまいます。
そんな22番を見ていると、人ごとのようには思えないのです。誰しも22番のようになる可能性があり、明日は我が身と思えてしまう。
一方、ジョーはなんとか現実世界に戻り念願だった夢を叶えますが、いざ叶うと案外呆気ない、心は想像した以上には震えず、結局毎日同じことを繰り返す人生に戻ります。
ジョーの中でいつの間にか”ジャズ・ミュージシャンになりたい”というきらめきから”ジャズ・ミュージシャンにならなければいけない”という義務感に変わっていたのかもしれませんね。
そしてここからがソウルフル・ワールドの真骨頂とも言えるシーン!もぐもぐは大号泣でした
理想と現実のギャップに愕然としているジョーのポケットから出てきたのは22番との思い出の品々。何も知らない他人からするとそれはゴミに見えるものたち。
ですが、ジョーはその”ゴミにも見えるもの”ひとつひとつに心を震わせるのです。なぜならジョーにとってそのどれにも忘れられないストーリーがあるから。
決められた楽譜でピアノを弾くのではなく、その品々を並べ、思うままにピアノを弾き始めるジョー。
”人生”には心がきらめく瞬間がたくさんあったことに気づくのです。それは、ジョーが”ただの生活の一部”と言っていたなんてことない瞬間の数々。
木々の間から煌めく木漏れ日、真冬に暖かい室内で飲むコーヒーと美味しいケーキ、天気のいい日に吸い込む空気、お腹が空いた時に食べるピザの一口目…
私たち大人は”些細な幸せ”が当たり前になっていき、つい忘れがちになってしまう瞬間ばかり。
そのシーンを見た時に、自分の生活の中にあった幸せを思い出させてもらえました。子供がうとうとしながら眠りに落ちる瞬間、コーヒーの香りがする朝、クリスマスのイルミネーションに輝く街…私の中にもたくさんのきらめきがあったんだと。
そのきらめきを教えてくれたのはきらめきが何なのか分からなかった22番なんですよね。
理想の自分になれなくても人生のきらめきはいつだってそばにある
上手くいかないことも多いけれど、それも人生。失敗したからといって全てが終わりではない。
SNSの普及で他人と比較する機会が増えている昨今、つい何者かにならなければならないと生き急いでしまいます。でも、遠くばかり見るのではなく目の前の幸せに気づけることで本当の自分を見つけることができるのかもしれません。
本当になりたかった職業には就けなかった床屋のお兄さんも大好きなトロンボーンを辞めかけたコニーも、考え方次第で人生を変えた。もちろん色んな人に支えられながら。
そうやって人生は続いていく。
ラストシーンでジョーが言った「一瞬、一瞬を大切に生きるよ」という言葉に全てが詰まっていますよね。
地上で生まれる22番に再会するのかどうか分からない終わり方も素晴らしかったです。
前向きになれること間違いなしな『ソウルフル・ワールド』!是非ディズニープラスでご覧ください。
おすすめ度:/(星4.5)